少し感極まった表情を引き締め、深々と頭を下げた長塚智広(茨城・36歳)選手は1月28日、東京渋谷区の岸記念体育会館において引退記者会見を行った。長塚選手は「自転車競技者として引退する事をご報告いたします」を明らかにし、自転車の出会いからアテネ五輪、そして競輪選手としての十数年を振り返って、「自転車競技者としては体力的にこれ以上、上を目指せないこと、オリンピックでもメダルを取ることができないとの思いから、一線を引く事を決断しました」の旨を語った。04年のアテネオリンピックでは、伏見俊昭、井上昌己と組んでチームスプリント銀メダルを獲得。11年には早稲田大学院スポーツ科学学術院で「被災地におけるトップアスリートによる継続的スポーツ教室の効果」を論文発表するなど競技の他に多岐に亘る才能を発揮、本業の競輪選手としても11年小倉競輪祭でG1初制覇を成し遂げるなど活躍を見せた。―昨年のSSイレブンの脱退騒動により、1年間の自粛制裁を受けている間、「いろいろ考えさせられましたが、やはり東京オリンピックへ向け、日本のスポーツ振興への思いが強く、走ること以外で自分が出来ることがあるとの決断に至った」と吐露。騒動に関しては「競輪が良くなって欲しいという一心だった」ことを強調した。今後は、オリンピックを通して気付かされた、そして東日本大震災で被災した子供達のための「スポーツの力」を生かす活動に邁進。また、トップアスリートに浸透している治療技術や医療、トレーニング技術を広め、更に自転車の普及に努める。最後に長塚は「17年間本当にありがとうございました」と関係者、ファンに最後の挨拶を行った。 |
(写真) 1月28日、引退記者会見を行った長塚智広選手
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