競輪46期・永倉通夫選手。前号で記したイベント等での大活躍のみならず、その日常は多忙を極める。ここ最近は丸一日休んだ記憶がない、というほどだ。選手会埼玉支部長としての本業は「主に選手からの苦情処理係」(本人談)とのことで、東に「今月は斡旋が少ない。追加配分が欲しい」という選手あらば選手会事務長を通して日自振斡旋課に照会・交渉をし、西に「ここの場を走れば全場制覇。ぜひ斡旋を」という引退直前のベテラン選手あらば、これもなんとかならないかと交渉を試みる。南に自らの失格判定に不服を申し出る選手あらば競技会や開催指導員との事実確認を行い(判定が覆ることはないが)自場(大宮・西武園)での本場開催が近づけば施行側と連携を取りつつ場内イベントの準備を行う…といった八面六臂の大活躍。まさに埼玉県全159選手の「カシラ」としての存在なのである。
そんな彼が今最も熱心に取り組んでいるのが『公営各競技とのコラボレーション』だ。自らが籍を置く競輪業界に対しても「もう各自の仕事をやっていればいいという時代ではない。業界は家族。それぞれの立場が意見交換をしていかないと」と提言し続け、更に「公営競技は一家」まで飛躍するのがこの人のスゴイ所。具体的には同じ埼玉の競艇選手会、オートレース選手会などに声をかけ、例えば競艇場で競輪選手によるイベントを開催したり、競輪場にオートレース選手を呼んでバンクを走らせる、などという突拍子もないものまで考えているらしい。これらイベントにより、場内のお客に少しでも他競技の情報を与え、相互に売上げへ結びつけてゆこうということだ。私にしても常々から「もう競技同士でライバル視し合っている場合ではない。公営ギャンブルに足を運ぶ人口自体を増やすことを考えないと」と言い続けてきただけに、このコラボ案は非常に心強い同志である。ぜひ数々のイベントを実現化してほしいものだ。
親友・釜本憲司選手のロッカーにて
プライベートでもギャンブル大好きな永倉選手。「お客様の気持ちがわかるように」などというキレイごとではなく、純粋に好きなのだそう。以前から友人や後輩・弟子を誘っては川口オートなどに頻繁に遊びに行っていたのだが、最近は多忙のためなかなか時間も取れず、たまに行こうかなと思っても「最近の若手選手は誘ってもなかなか来ない」のだそうで、それはまた寂しい話だ。まぁ、賞金レベルが下がって稼ぎが少ないからか…とも思うが、世間一般同様に公営競技界の若手選手にまでギャンブル離れが進んでいるとは!? 選手の皆さん、たまには他競技を打ちに行きましょう!
昨年11月18日土曜日。永倉選手と誘い合い、その川口オートへ行った。朝、場内で待ち合わせをすると、客席に入る前にバックヤードの方へと挨拶回りに。普段から選手会同士の打ち合わせなどで出入りをされているようで、ロッカールームに入るとかなりの顔馴染みの模様。行き交うオート選手たちが皆「おお、来たの!」「今日はどうしたの?」などと声をかけてくる。
そして客席に戻ってからは、当ページ恒例の「誌上車券勝負!」をお願いする。「えぇ!? 聞いてないよ!」と言いながらも楽しそう&自信ありげな表情を見せる永倉氏。8・9Rを共に少々買ってハズし、10Rはお互いに見。そして11Rで永倉氏が本命筋ではあるが2連単の6倍をゲット!
そして迎えた最終12R。
【12R 優勝戦】
1.深谷 輝 ハンデ20
2.瀧下隼平 ハンデ20
3.中野憲人 ハンデ20
4.山田達也 ハンデ20
5.田中 進 ハンデ10
6.且元滋紀 ハンデ10
7.吉田祐也 ハンデ10
8.門傳泰浩 ハンデ0
試走タイムは1〜3号車が3・26、4・5号車が3・28、以下が3・31だ。先ほどから横で買い目を見ていると、永倉氏はどうやら本命党。穴も買うが、せいぜい2・3着で。1着は確実性の高いところのみで、2連単はウラも買う、というパターンが多いようだ。そして互いの買い目は…
【永倉】
3連単 134ボックス
【沢】
3連単 3−14−145
最終レースを3連単で取ってこの表情!
今度は永倉さんの競争で儲けさせて下さい
レースは20ハンデ勢の中で深谷が終始先行。捌きも決め、最終バックで追走の中野が差すか、という瞬間もあったがそのまま。1−3−4で3連単2320円ナリ。永倉選手、2連勝で勝利という結果。やっぱりバンクの中でも戦っている勝負師にはかなわんなぁ…とほほ。
出場している競輪場にいつもかかる永倉選手の応援横断幕には「埼玉のミスター競輪」の文字が躍る。ミスター、と呼ばれるだけの値打ちが確かに彼にはある。今後もバンク内外でのご活躍に期待しよう。
(2007年3月5日号)
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