【 コラム colum 】

公営レース賛成派
〜客 席 か ら 本 音 で 語 る 公 営 競 技 〜


公営競技ライター 沢 ともゆき

vol.23 「ファンが企画!?の全プロ競輪観戦ツアー」


さる5月中旬にとりおこなわれた一般ファン主催(!)の競輪観戦ツアーは、
今後の業界新規客獲得のための新しい指針となり得るものだった


 とにかく全てが前代未聞の競輪観戦ツアー。

★主催者は一般ファンの女性
★自らが企画し、ネットを中心に参加者を公募。同時に日自振はじめ関係各位への交渉もし、知己の競輪選手らへも協力を要請(もちろん皆が快諾)。
★バックヤードツアー、宴会への選手の参加など、従来ではなかなかあり得なかったイベントを多数実現。

以下、その全貌を報告しよう。

 5月12日(土)午前、東京駅近くの駐車場から参加者一同を乗せたバスは出発。いわき平競輪場まで約3時間の旅だ。参加者の3分の2は20〜30代の女性。うち半分以上が競輪初心者だという。まずは主催者の女性による挨拶。ヤリ手の編集者である彼女自身、競輪は全くの初心者。ただ普段の交友筋に競輪関係者や選手などが多くおり、斜陽の一途をたどる業界の話に触れ、湧き上がってきたのがこの企画。超級選手が多数集結する全プロ開催に日程を定め、参加者を知己からネットから募り、企画も膨らませる。選手会、日自振、各選手にも声をかけ、公認ツアーとしての体裁を整えてゆく(これが重要なのだ)…というのが当日までの流れ。
 配られたツアーパンフレット。初心者に向け「競輪は車券を買ってナンボ!」という文字も。嬉しいねぇ。車中では立川競輪実況アナウンサー・筒井氏(なかなかイケメン)がアドバイザー役として大活躍。耳障りの良い流暢な調子で競輪初心者講座を展開する。
 13時には現地に到着。本日は最終レースまでレース観戦&車券購入。参加者の中でも競輪歴のある者には「シャケンノカイカタオシエマス」と書かれたバッジがつけられ、初心者は彼らに尋ねる、という形。もちろん私もつけさせられたが、これはちょっと恥ずかしかった(笑)。

 その日は湯本温泉に投宿。夜の大宴会には交渉済みの選手多数が乱入だ。そして今回、一般客として参加されたのはあの中野浩一氏。初心者にももちろん知名度抜群である氏の存在は大きく、二次会では参加客の輪の中心となって談笑。私も少々緊張しつつ話の輪に加わる。

 明けて日曜日は全プロ本番の日。ツアーの面々は昼からの「バックヤードツアー」に各自参加。福島選手会の仕切りで、普段は絶対入れない検車場、選手食堂など管理区域を見て回ると、そこかしこで有名選手とすれ違う。声をかけ、会話をしたり、太ももを触ったり…(笑)。
 その後は場内でプロアスリートたちの真剣勝負を観戦。夕暮れが近づく頃には帰路のバスに乗り込み、車中では主催者が現地で調達した選手のサイン入りグッズをはじめ、数多くのお宝抽選会でまた一盛り上がり。

 …とまぁ、これを読んで初めて知った読者諸氏も「こいつぁスゲエ!」とビックリすることうけあいの一泊二日なのであった。たまたまツテがあり参加させていただいた私も、普段の旅打ちとは全く違う感動を与えていただいたし、もちろん参加した初心者の方々にとっても超充実の内容。新規客獲得が急務と叫ばれる公営競技業界にあって、このツアーの持つ意味は大きい。ぜひ今後、各施行側などにもこうしたツアーを主催していただきたい、と強く思うのであるが、果たして施行側の主催で今回のような内容のツアーが実現できるのかどうか? 「管理区域に一般客を入れるのは…」「選手を宴会に出すなどもってのほか」など、「頭のカタい」話が先立ってなかなか実行できないのではないだろうか。しかし、そんな感覚と事なかれ主義では何をやっても新規客の獲得などできはしない。今回のツアーを大いに参考にしていただきたいものだ。私も機会があれば何か主催してみたい、と思っている。


〜 全プロ観戦バスツアー フォトアルバム 〜

初心者もベテランも大満足の観戦ツアー二日間の模様。
このうち大部分は、楽しかった旅の記録として参加客自らが「皆さん、どうぞ」とネット上にアップした写真だ


主催者作成の本格的ツアーパンフ。映画『フラガール』がモチーフ


いわき平名物のバンク内観戦スペースにて。選手に黄色い声援が飛ぶ


福島選手会主導によるバックヤードツアー。ベテラン客にも嬉しい企画だ


夜の宴会に勢揃いした選手陣。岡部、小嶋、加藤慎、合志…う〜ん、豪華!


二次会でツアー客と談笑するのは…世界のナカノだ!


全員が大満足。初心者さんもリピート率高そう

(2007年6月5日号)


筆者●沢ともゆき プロフィール

昭和40年代前半生まれ、東京下町在住。造り酒屋の家系に育ち、放蕩な青春期を送る。20代より公営全競技を最大の趣味とし、現在も本業(編集・デザイン事務所主宰)のかたわら全国レース場を渡り歩く。昨年より公営競技ライターとしてデビュー。座右の銘は『人生は種銭稼ぎ』。