前々号からいぜん反響続く「競輪観戦ツアー」。本号発売直前の6月17日には、ワタクシ・沢の主催で川崎競輪場にて観戦会を実施。その結果はいずれこちらで。
さて、気がつけば本コラムも25回目。ということは…いつの間にか一周年を過ぎているではないか!? この1年間、ライターとしてデビューさせていただいた本誌および読者の皆様、そしてここをきっかけに数々のお声掛けをいただいた業界関係者の皆様に感謝をしつつ、今回から数回は「客席からの公営競技業界への提言」「公営競技を未来永劫残すには?」という本来のテーマに立ち返ってみたい。そして、この1年間で業界内の様々な人・モノを拝見させていただき、当然ながら1年前とは自分自身の視点や考えも変化している。まぁ、それを指して「業界に日和った」というふうに言われる方々もいるようだが、それは仕方のないこと。取材者となり、業界内をしっかり見た上での、”今現在での”提言とご理解いただきたい。
まず大きな意味で業界関係者全体に言いたいのは『他レジャーに携わる方々と同じかそれ以上の意識を持つべし』ということ。「公営ギャンブルはレジャーである」=「お客に喜んでもらってカネを出してもらってナンボ」…という意識をお持ちだろうか? これがまず根底にあれば、いまだ業界にはびこる無意味(どころか逆効果)な運営・宣伝などは即刻考え直されるべきだし、今からでも遅くはないので、これまでの遅れを取り戻すべくアタマをひねり、実行していきましょう。
●沢の具体案・1 『予想紙は無料配布!』
もう情報で金を取ってる場合ではない。「情報はタダで配る」方向性にもってゆくこと。昨今、初心者をレース場に連れて行った時に、まず「予想紙が500円は高すぎる!」という訴えをされる。あのタブロイド版1枚でスポーツ新聞の4倍するわけだから、何も知らない初心者にとっては至極当然の感想だろう。情報を与えれば客は予想し、買う。本場において最大のレース情報である予想紙を「高い」の一言で拒否させるのはなんとももったいない話だ。ベテラン客にしても、多くの人が予想紙を買わずに持参のスポーツ新聞や出走表のみで予想をしている姿を目にするが、あの人たちだって、予想紙の詳細情報があればもっと打つ(客単価が上がる)確率は高い。客の心根をわかっていますか? 情報を与えられたら「もっと買う」どころか、「買わずにはいられない」のがバクチ打ち(私だけか? そんなことないと思うけど)。予想紙は施行側が買い上げて無料で配布すべし。500円の新聞で客単価が2000円上がれば万々歳ではないのか。前述のごとく、他レジャーと比べてみよう。遊園地で、アトラクション案内図を有料で売りますか?
もちろん予想紙自体の情報としての質も向上させなければならない。これからは本命予想と同じぐらいのウェイトで穴予想も記すべきだし(特に本命で決まることの極端に減った最近の競輪においては!)、複数紙ある場の場合には、無料配布1人1部の制限を設ければ、客から支持されている予想紙はどれか? ということもハッキリしてきて、新聞社側も内容の充実を期するようになってくるだろう。
これからは無料の情報がどんどん増えてゆくだろうことは想像に難くない。ネット配信でも徐々に選手インタビューや予想バラエティなどの番組が充実してゆくだろうし、予想紙だってネットでのダウンロードが可能な時代だ。これらのインフラを最大限利用しても「有料」では使う客の数には限りがある。また、「ここの競技では・場では無料だが他所では有料」というような状況もよろしくないので、今こそ業界一丸となって「情報は無料で広く公開する」と意思統一をすべきなのだ。
●沢的具体案・2 『施行さんも他場で打とう!』
取材者となり、各地の担当者(施行)の方々と頻繁にお話をさせていただいての感想がこれ。「自分自身もギャンブル大好き」という人のなんと少ないことか!(それでも一部の場には熱心な施行さんがいて、やはり良い施策を数々と実行されているが)
何度も言うとおり「人心を掴んでナンボのレジャー」なのだから、少なくとも運営担当者たる方々が競技に、ギャンブルに興味がなければお話にならない、と思う。自社や自社製品を愛せない会社員(ま、たいていダメ社員ですな)と一緒だ。
さぁ、これをお読みの施行の皆さん、コレを仕事にすることになった以上はもうあきらめて(笑)、休日にはギャンブルに行きましょう! そうして少しでも面白さ・客の気持ちを身をもって理解していただき、「この面白いモノをもっと盛り上げるには!?」というお話を、ぜひ一緒にさせていただきたいと思います。
以上、この1年で思ったところを思いきりぶつけるような調子になってしまったが、書くほどに更に言いたいことが増えてくる感じは否めず、ひょっとしてこのテーマ、当初の予定以上に長く続くかもしれません。とりあえず続きはまた次号。
情報を得て、予想をし、当たれば嬉しく更にハマる…ギャンブルとはそういうものだ。
(2007年7月5日号)
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